「コロナ帯電式塗装法」とは、高い耐久力と防錆性があり、使用塗料の材質を選ばないため幅広い製品に適応されている静電気塗装技術の一つです。このページでは「コロナ帯電式塗装法」の特徴と、メリット・デメリットについて解説しています。
「コロナ帯電式塗装法」とは、高い耐久力と防錆性を誇る塗装技術であり、「静電塗装」の一つです。
「静電塗装」とは、塗料を空気や電気などで噴霧し、高電圧の放電を利用して塗料を霧化させることで塗料を塗着させる塗装技術のことです。静電気の力を利用するので通常のエアスプレーよりも塗着効率が高く環境に優しくなっています。
コロナ帯電式塗装法では、塗装ガン先端にあるコロナ電極に高電圧(-45℃~85KV)を印加させることで電極よりコロナ放電が発生します。電界イオン放電により発生したイオンが粉体塗料粒子料を帯電させ、設置した被塗物を付着させます。
コロナ帯電式塗装法で使用する塗装ガンの構造は簡単なのでメンテナンスが容易であり、塗着効率が良いので安定した膜厚が可能です。鉄やアルミなどの材質に向いており、実際に建築資材や家電部品、医療機器など多くの分野で活用されています。納期は翌日から2週間程度と短納期であり、100~数万個程度のロットが可能、対応可能サイズは500mm×500mm×100mm程度となっています。
コロナ帯電式塗装法のメリットは次のとおりです。
1つ目は「粉体塗料の材質を選ばない」ことです。コロナ帯電式塗装法では、粉体塗料の材質を選ばないので、ほとんどの塗料を使用することができます。
2つ目は「塗膜の耐久力が高い」ことです。溶剤塗装などに比べると塗膜が厚く、柔軟性があるため、塗装された面が空気に触れにくく、高い耐久力と防錆性を維持します。そのため、厚膜で塗りたいが溶剤だとタレてしまう、何回も塗装するとコストがかかってしまうが大きな面積を厚く塗りたいなどの問題に柔軟に対応できます。
コロナ帯電式塗装法のデメリットは次のとおりです。
1つ目は「塗膜欠陥が発生しやすい」ことです。粉体層が厚くなりすぎて被塗物と塗着粒子が反発し、凹んでしまう「逆電離現象」が発生するため、ピンホールやゆず肌といった塗膜欠陥が発生する可能性が高くなっています。
2つ目は「ファラデーケージ効果により凹部の内側に粒子が入りにくい」ことです。
コロナ帯電式塗装法は手前側のエッジ部分に電界が集中するため、ファラデーケージ効果により凹部の内側に塗料粒子が入りにくくなります。
ファラデーケージ効果とは、コロナ電極から被塗物に及ぶ電気力線は被塗物の凸部に集中しやすくなるため、凹部には入り込まないという現象です。その為、凹側の膜厚が薄くなり、凸部が厚くなります。その部分を塗装しようと塗装し続けてしまうと、膜厚ムラなどの塗装外観不良につながる可能性が高くなります。
3つ目は「薄い塗膜には対応できない」ことです。
コロナ帯電式塗装法は塗膜の耐久力は高いですが、薄くすることができません。通常粉体塗料で120μ程度であり、薄い塗膜が必要な場合は溶剤塗装など別手段を考慮する必要があります。最近は粒径の小さな塗料、塗着後のフローが良い塗料などの薄膜対応塗料でも最低膜厚は60~80μ程度となっています。