新型コロナウイルスにより、2020年は粉体塗装市場だけでなく、世界規模で全市場に影響を及ぼしました。2021年から回復の兆しを見せた世界と日本の粉体塗装市場と需要はどのような傾向にあるのでしょうか。このページでは粉体塗装の市場と需要について解説します。
世界の粉体塗装市場は2021年の138億米ドルからCAGR3.9%で成長し、2022年から2027年中に5.5%を超えると予測されています。粉体塗装市場は次の要素に寄って分割されます。※
2020年は世界的な新型コロナウイルスの影響により製造活動とサプライチェーンの混乱などが発生し、粉体塗装市場に強く影響を及ぼしました。しかし、2021年から状況は回復しはじめ、成長も回復していきました。
建築および装飾産業における粉体塗装の需要は、予測期間中に増加する可能性があります。なぜなら、粉体塗装が急成長しているのが建築および装飾産業だからです。
粉体塗装にはポリエステル樹脂技術の拡大と安定した低光沢処方など、様々な色と仕上げが揃っています。そのため、屋外会場や公共事業プロジェクトに長期的な外装仕上げを求める建設会社からの注目が増えています。
北米市場では、爆発的なグリーン建設慣行の増加とグローバル化により、建築用アルミニウムをコーティングするためのオプションとして粉体塗装に関する認識がさらに高まっています。米国グリーンビルディング評議会(USGBC)によると、2021年には2億4,700万GSFの土地を持つアメリカの上位10州のグリーンビルディングのLEED認証を、1,105プロジェクトが取得しています。※
世界の粉体塗装市場において、中国、韓国、インドなどのアジア太平洋地域による影響は世界的に強く、自動車産業、建設活動、工業製品からの消費が増加しました。
下記のようなエンドユーザー産業の成長により、2022年から2027年の粉体塗装需要は、アジア太平洋地域で大幅に増加すると推測されています。
日本市場も2020年の新型コロナウイルスの影響を受けましたが、経済産業省 生産動態統計によると、日本の2021年粉体塗料の出荷販売数量は前年比5.7%増の4.8万tと、前年よりも増加になったのは3年ぶりです。
近年は塗料業界でもSDGsへの対応が進められています。粉体塗料は有機溶剤などの溶媒を使用しないため、VOC(揮発性有機化合物)を排出せず環境にやさしい塗料です。そのため、VOC排出対策として、機械類や電気機器による溶剤系塗料から粉体塗装への切り替え需要など、今後も粉体塗料市場は拡大が続き、2025年には2021年に比べて18.4%増が予測されています。
老朽化した塗装設備を刷新する際に粉体塗料を採用しているところが増えてきています。それに伴い、ユーザーからのニーズも多様化し、高耐候性、抗ウイルス性、耐切削油性、高防食性などの機能を付与した製品の開発が進んでいます。供給側としては、消費者がどこに価値を見出すか、どこを重視し需要を創造するかが規模拡大のカギとなるでしょう。