粉体塗装は前処理や清掃の徹底など、複数色や小ロット対応が難しいといわれています。しかし、最近では常備在庫色の色数増加や色替え粉体塗装対応設備の登場などにより、小ロット対応の粉体塗装会社が出てきています。このページでは粉体塗装の小ロット対応について紹介します。
粉体塗装で小ロットが難しい理由は以下のとおりです。
1つ目は「粉体塗装は徹底した清掃が必要だから」です。
粉体塗装は空気中に顔料などを粉砕した塗料を噴き付け、静電気によって製品に塗料を付着させます。この時、塗装ブースに別色の塗料などが残っていると、製品に一緒に付着してしまい、塗装不良の原因になってしまいます。
そのため、粉体塗装で色替えをする場合、塗装ブースや噴き付けガンの内部などに付着している塗料を全てきれいに清掃しなければいけません。溶剤塗装に比べて範囲が広く、徹底した清掃が求められるため溶剤塗装に比べ時間がかかります。なるべく同じ塗料を使用して、多数の製品を塗装しなければ効率が悪くなってしまいます。
2つ目は「粉体塗料は数百kg単位でしか購入できないから」です。溶剤塗料は一般的には4kg缶から購入できますが、粉体塗料は最低発注数量(MOQ)が多く、最低でも150〜300kg以上でなければ指定色粉体塗料は購入できないからです。
Japca日本パウダーコーティング協同組合による小ロット対応に関する最近の粉体塗装の進捗は以下のとおりです。
現在、各塗料メーカーはカラーカード方式による常備在庫塗料の販売で、最近では業界全体の色数が増加し、2,000色を大幅に超えました。色数が増加すれば色の選択範囲も拡大するので、この方法で粉体塗料を購入すれば、少量・短納期・低価格が可能になりました。
最近では塗装機メーカーの改良努力により、5~15分間で色変え可能な粉体塗装装置が発売されました。主に塗装機と回収装置であり、一部交換部品の準備が必要となります。色替え時間が5~15分になるということは、他の塗装系色替え作業時間と大差がないため、小口塗装や多色塗装に粉体塗装でも利用可能になるのです。
最近では粉体塗装の多色、小ロットに対応している会社が増えてきています。
たとえば、「株式会社松本現色」は、ポリエステル樹脂を主体とした耐食性及び耐候性に優れた多様な粉体塗装を行っています。その他にも、エポキシ樹脂、エポキシポリエステル樹脂、アクリルポリエステル樹脂の塗装も行っています。多様化するニーズに応えるため「移動式ブースの高速色替システム」を採用することで、多色、小ロットに対応した粉体塗装を行っています。