金属塗装の種類は複数あり、それぞれで使用用途が異なります。塗装の種類によって費用や効果が変わるので、事前に主な価格帯と耐用年数を知っておきましょう。このページは見積もりを決める要素と粉体塗装の種類ごとの劣化スピード、価格帯、耐用年数を紹介しています。
粉体塗装の塗膜表面劣化は、屋外の太陽光に含まれる紫外線によって塗料の樹脂成分が分解することで発生します。塗膜の光沢が失われていき消失してしまうと、最終的に表面に粉が吹いたような現象(チョーキング)が発生します。粉は雨や風に流されていきますが、その下にあった塗膜も次々と紫外線を浴びることとなり、劣化し、消耗していきます。この減耗量は塗料のグレードによって大きく差があります。
重塩害地のように減耗が促進しやすい環境をもとにしたデータによると、次のようになります。
粉体塗装の種類 | チョーキング開始まで | 減耗速度 |
---|---|---|
エポキシ塗膜 | 3ヶ月 | 10~15μm/年 |
ポリウレタン、ポリエステル、アクリル | 2~3年 | 1~2μm/年 |
フッ素 | 7年 | 0.3μm/年 |
これも暴露される環境によって大きく変動しますのであくまで参考値として考えましょう。見栄えを気にする場合は、塗料の耐候性グレードを意識した塗料選定が必要となります。なぜなら、一般的に耐候性が高い塗料ほど金額も高額になっていくからです。
ただし、いくら耐久性の高い高価な塗料を使ったとしても、塗膜が剥がれてしまっては意味がありません。そのため、高い耐候性グレードの塗料を選択する場合は、「剥がれない」を確保するために母材種や前処理選定と管理に十分な配慮をすることが重要になります。
粉体塗装の見積りを決める際に気をつけるべきポイントは以下のとおりです。
1つ目は「形状」です。見積金額は塗装する金属製品の形状や塗装範囲によって異なります。塗装範囲が広い、自動塗装が難しい形状のため人間を使って塗装する場合は見積もりが高額になる可能性があります。
2つ目は「塗装種類」です。エポキシ塗装やフッ素樹脂塗装など、塗料代金が高い塗装を使用した場合見積もりは高くなります。価格と耐久性を吟味して、製品の仕様にあったものを選びましょう。
3つ目は「下処理」です。製品の汚れを落とす作業や研磨作業などの下処理も含めて依頼するかどうかで見積もりの金額は異なります。なぜなら、塗装前に下処理をしておかないと塗装が剥がれやすい、ムラができやすいため、必ずしなければいけない作業であり、その分受注側の作業工程が増えるからです。
粉体塗装の耐用年数とは、簡単にいうと塗った塗料の寿命のようなものです。使用する溶剤や塗料のグレード、重ね塗りを何回したかによっても異なってくるので、あくまで目安として考えましょう。
目安である耐用年数を超えてしまうと、塗料が剥がれてきたり、水を弾く力が弱くなったりするため、塗料がもっている硬化を発揮できなくなってしまいます。そのため、塗装の種類を選ぶ場合は、耐用年数を事前に把握しておくことをおすすめします。
主な粉体塗装の種類と耐用年数は以下のとおりです。
粉体塗装の種類 | 耐用年数 |
---|---|
粉体塗装 | 3~7年 |
エポキシ塗装 | 8~16年 |
アクリル樹脂焼付塗装 | 4~7年 |
溶剤塗装 | 5~10年 |
フッ素樹脂塗装 | 11~13年 |
粉体塗装の料金は、使用する塗料や範囲によって異なります。使用する溶剤、グレードや製品形状、膜厚、メーカーによって変動するため、あくまで目安として考えましょう。
1㎡における主な粉体塗装の種類と料金は以下のとおりです。
粉体塗装の種類 | 料金(1㎡) |
---|---|
粉体塗装 | 2,000~2,500円 |
エポキシ塗装 | 1,000円前後 |
アクリル樹脂焼付塗装 | 1,500~1,800円 |
溶剤塗装 | 1,000~4,500円 |
フッ素樹脂塗装 | 4,000~4,500円 |