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粉体塗装:摩擦帯電式塗装法

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静電気塗装は被塗物の大きさや形状、材質、求められる塗膜などの条件に応じて「コロナ帯電式塗装法」と「摩擦帯電式(トリボ)塗装法」に分けられます。このページでは、「摩擦帯電式(トリボ)塗装法」について解説しています。

摩擦帯電式(トリボ)塗装法とは

「摩擦帯電式(トリボ)塗装法」とは、粉体塗料を荷電素材(PTFE)と接触させ、塗装ガン内面で塗料を摩擦させることによって塗料を帯電させ、被塗物に粉体塗料を付着させる方法です。

「静電塗装」の一つであり、塗料の1粒1粒が帯電するので複雑な形状のものにもさらに塗装しやすくなり、塗膜欠陥が発生しにくくなっているため、複雑な形状のものでもきれいに塗装できる可能性が高くなります。

摩擦帯電式(トリボ)塗装法は、コロナ帯電式塗装法のように高電圧発生機やコロナピンを使用して強制的に帯電させるのではなく、塗装機内部の樹脂内壁とそこを通過する塗料粒子の接触摩擦で起こる電荷移動で塗料粒子を帯電させます。そのため、確実に塗料が帯電するようスプレーガンのストロークを長くするなど、様々な工夫が必要となります。

被塗物への塗着後は、コロナ帯電式塗装法と同じように加熱し溶融成膜させます。鉄やアルミなどの材質に向いており、実際に建築資材や家電部品、医療機器など多くの分野で活用されています。納期は翌日から2週間程度と短納期であり、100~数万個程度のロットが可能、対応可能サイズは500mm×500mm×100mm程度となっています。

摩擦帯電式(トリボ)塗装法のメリット

摩擦帯電式(トリボ)塗装法のメリットは以下のとおりです。

凹部の内側への塗装がしやすい

1つ目は「凹部の内側への塗装がしやすい」ことです。コロナ帯電式塗装法のように静電界やフリーイオンが発生しないため、摩擦帯電式(トリボ)塗装法は凹部の内側への塗装がしやすく、複雑な形状のものへの塗装や薄膜高外観を要求される用途に適しています。

塗膜欠陥が発生しにくい

2つ目は「塗膜欠陥が発生しにくい」ことです。摩擦帯電式(トリボ)塗装法は粉体層が厚くなりすぎて被塗物と塗着粒子が反発し凹みがでる「逆電離現象」が発生しないため、ピンホールや肌荒れが起こりにくく表面がなめらかな塗膜形成が可能です。

摩擦帯電式(トリボ)塗装法の
デメリット

摩擦帯電式(トリボ)塗装法のデメリットは以下のとおりです。

使用する塗料が限られる

1つ目は「使用する塗料が限られる」ことです。摩擦帯電式(トリボ)塗装法はアクリル樹脂系など、摩擦帯電に不適な塗料もあるため、塗着効率が塗料の帯電性によって変わります。そのため、使用する塗料が限られてしまうのです。

エポキシ>ポリエステル>アクリル

帯電性能の悪い塗料には添加剤を入れるなどしましょう。

気候によって付着しにくい可能性がある

2つ目は「気候によって付着しにくい可能性がある」ことです。摩擦帯電式(トリボ)塗装法は強制的に帯電させるわけではないので、摩擦帯電しにくい塗料には適していません。また、日本は高温多湿なので湿度や天候の影響を受けやすく、付着しにくい可能性があります。